マジ怖いッス…
マジ怖いッス…
(あれは…“永遠のフレッシュさん”インコ林(いんこばやし)くん。)
こんにちは、インコ林くん。
何がそんなに怖いんだい?
ほん太先輩、こんちはッス!
お客様が怖いッス…
なんか、突然大きい声出したりして、ワケわかんないッス…
うん、そうだね。対応って難しいよね。
インコ林くんのヒントになりそうな『お怒り対応マニュアル』(川合健三/著 ダイヤモンド社 2023年)という本があるから、紹介するね。
『お怒り対応マニュアル』一行紹介:
2000件以上のクレーム対応に関わった著者による「新しいクレーム対応」の本。
お怒り対応 = お気持ち対応 + クレーム対応
「お怒り対応」…聞いたことあるようで、無い言葉ですね。
お怒り対応とは、“お気持ち対応”+“クレーム対応”のことです。
おこなう順番は、“お気持ち対応”→“クレーム対応”となります。
つまり、クレーム対応よりも相手の感情に寄り添うことが大切なのです。
たとえば、こんなことを言われたとします。
客:店の入り口の床が雨で滑りやすくなっているぞ!危ないから何とかしろ!
マジっスか!どこッスか!拭くッス!
…ってなるッス。
インコ林くん、口調がブレないんだね。
これに対し、“お気持ち対応”はこうです。
店員:大変申し訳ございませんでした。床が濡れて滑りやすい状態だったのですね。失礼いたしました。お怪我などはございませんでしょうか?
このように相手の感情に寄り添う言葉をかけると、イライラがおさまることが多いです。
(もちろん、この後すみやかに床を拭きます)
“クレーム対応”を先におこなった場合、どうなるでしょう?
・事実把握…「入り口のどのあたりですか」
・責任の所在…(うちの店が濡らしたわけではない)
・原因究明…「急な雨で対応が遅れました」
相手によっては、「じゃあ雨を降らせた空に文句を言えってことか!屁理屈いうな!」と、別方向からの怒りをぶつけてくる人もいるでしょう。
こういう人いるッス!
急に違う方向から怒られるので、ワケわかんなくなって固まっちゃうッス…
お気持ち対応は、「相手の顔を潰さない・立てる」対応とも言えます。
もちろん、理不尽な要求には「NO!」をはっきり伝えることも大事だよ。
お気持ち対応の原則
“お気持ち対応”をするうえで、「これだけは守ってほしい」と書かれている原則の中から、いくつか紹介します。
“3変”って何ッスか?
“変態”“変人”“変質者”。つまり、ほん太くんのことだよ。
…うさ井さん、かまってほしいのかな?
3変とは、「場所を変える」「人を変える」「時間を変える」ことだよ。
1.ネガティブな感情に寄り添う
まずは、感情に寄り添う言葉を伝えます。
客:商品がまだ届いていないんだけど!
と言われたら、
店員:「ご依頼いただいた商品がまだ届いていない」ということですね。ご心配をおかけして申し訳ございません。
と返します。
相手の不安やいら立ちに寄り添うような言葉で復唱することで、共感・理解を示します。
同じこと言うだけだから、簡単ッス!
そうだね。「同じことを言うだけで簡単」と思ってもらえてよかったよ。
!!!
理解してもらえたッス~♡
あわてて解決しようとしたり、相手の主張を遮ったり否定したりする必要はありません。
まずは、共感・理解です。
2.復唱→感謝→要約
復唱→感謝→要約をすると、相手は「わかってもらえた!」と安堵します。
これで避けられるトラブルは多いでしょう。
たとえば、「買ったものが不良品だった」と言われ、
客:使い方は間違っていないはず。
と相手から言われた場合は、
店員:「使い方は間違っていなかった」ということですね。
と、復唱します(真偽はさておき)。
その後詳しい話を聴きとり終わったら、感謝を伝えて要約します。
店員:詳しいお話をありがとうございました。(感謝)
そうしますと、お申し出の内容は「●●で~○○だった」ということですね。(要約)
最後にもう一度感謝を伝えましょう。
店員:本日は私どものために大切なお時間をいただき、さらに貴重なご意見まで賜りましたこと、本当にありがとうございました。
とても参考になりました。
「ありがとう」って大事なんスね~。
普段から言うようにしたいッスね~!
じゃあ早速どうぞ。せーの。
…ほら、「ありがとう」は?
インコ林くん、圧に負けないで。
今うさ井さんに感謝すべきことは、何もないよ。
3.“3変”を使う
ここまで対応して想定通りにいかなかった場合、相手の気持ちを鎮める方法として“3変”を使います。
3変とは…「場所を変える」「人を変える」「時を変える」です。
「場所を変える」のフレーズ例
店員:お客様、これまでのお話を伺いましたが、とても重要な内容だと感じています。
お立ちいただいたままお話を伺うよりも、応接室がございますので、そちらでじっくりと拝聴したいと存じますがいかがでしょうか。
「人を変える」のフレーズ例
店員:お客様、とても大事なお話のようですので、私よりも責任者がお話を伺ったほうがよいと存じますがいかがでしょうか。
「時を変える」のフレーズ例
店員:2日後の午後2時頃に私どものほうから会社としての正式な回答を電話でお伝えしたいと存じますが…
いろんな人がいるからね。想定通りにいかないこともあるよね。
“3変”を使う場合は、前もって上司と相談しておくといいね。
急に振られると上司が困るし。
そうっスね。
突然振って不機嫌になられたら、うさ井先輩へのお怒り対応が必要ッス。
泥沼化まっしぐら!対応のタブー
本で紹介されている10のNG行動の中から、3つ紹介します。
あわてて事実確認
もし、勘違いで怒鳴り込んできても、あわてて事実確認して正直に伝えてはいけません。
相手の立場が丸つぶれになるからです。
客:今日届くと言っていたのに届かないじゃないか!
と怒鳴り込んできても、「伝票の日付指定欄は『明日の午前中』になっていますが…」と伝えるより
店員:本日届く予定の商品がまだ届いていないということですね。ご心配をおかけして、まことに申し訳ございません。
すぐにお調べいたしますので、伝票番号を伺ってもよろしいでしょうか。
と、相手の言い分を尊重しましょう。
この後「お調べしましたが、私どもの伝票の控えには明日となっているようですが…いかがでしょう?」とやんわり伝えると、相手も弁解しやすい雰囲気になります。
新人や不慣れのせいにする
新人や不慣れな人のせいにするのは、上司がやってはいけないことです。
こうした対応から、相手は「言い訳」「弁解」などと感じてしまいます。
新人さんがミスするのは、突き詰めると「指導不足」「職場の仕組みの問題」であることがほとんどだからね。
インコ林くんも、少し気楽にいこうね。
ほん太先輩、あざッス!
あ。うさ井先輩のときに出なかったのに、感謝の言葉でたッス。
じゃあその勢いでどうぞ。ほら。ここにいるよ。
新人のせいにしないためには、責任は上司の自分にあると明確に伝えましょう。
上司:大変申し訳ございませんでした。私の指導不足でお客様にご迷惑をおかけしてしまいました。重ねてお詫び申し上げます。
というように。
相手の言いなりになる
相手が無理難題を言ってくる場合には、すぐにクレーム対応にギアを変えます。
その時点で、“お客様”として認識する必要はなくなるからです。
ただ、“ソフトに・丁寧に・丁重に”は徹底してください。
そのときのフレーズは、
店員:申し訳ございません。応じかねます。
などがよいでしょう。
最終手段“ブロークンレコード”
“ブロークンレコード”=壊れたレコードのように、同じ言葉を何度も繰り返します。
ただし、これはかなり強烈な対応です。
対応後に上司にクレームが行く場合もあるので、事前に社内でルール作りが必要となります。
ほら、「ありがとう」を言いなよ。
申し訳ございません。応じかねます。
いいから言ってごらんよ。たった5文字だよ。
申し訳ございません。応じかねます。
インコ林くん、さっそくブロークンレコードを使いこなしているね。
まとめ
今回は『お怒り対応マニュアル』を紹介しました。
ポイントをまとめます。
- 相手の気持ちに寄り添うことが大切
- 復唱→感謝→要約や3変を使う
- 他の人のせいにしたり、相手の言いなりになったりしない
この本には他にも、身に付けると便利な「お気持ち対応フレーズ」や、NG表現をOK表現にする「言い換えリスト」など役に立つフレーズ例が豊富に掲載されています。
とくに「言い換えリスト」は、インコ林くんたちフレッシュさんに役立つと思うよ。
いやーもう大丈夫ッス!安心してくださいッス!
ほら、246ページ読んでごらん。
(「大丈夫ですよ、ご安心ください」の言い換えがある!)
…「ご心配をおかけしてしまい、申し訳ございませんでした。」
最後まで読んでくださってありがとうございました!
またお会いできるのを楽しみにしています!