あぁ…流れ星になって、音速でいなくなりたい…
うさ井さん、こんにちは。
地肌で音速は危険だよ。
いったい何があったの?
あぁ、ほん太くんか。こんにちは。
「読書がいい」ってよく聞くから、有名な『星の王子さま』を図書館で借りたんだ。
でも、全然読み進められなくて…
たしかに、『星の王子さま』って、読むのが大変かも。
じゃあ、うさ井さんに作品のポイントを紹介するね。
『星の王子さま』一行あらすじ:
パイロットである主人公が砂漠に不時着し、そこで出会ったふしぎな王子さまと交流する話。
1943年にアメリカで出版されてから、多くの人の心をつかんできた『星の王子さま』。
でも、ちょっとわかりにくい物語です。
100ページちょっとの短編ですが、途中で挫折したり、がんばって読み通しても「…?」となった人も多いと思います。
そう!
ゾウを飲み込むボアで止まっているの!
(それ、ほぼ最初のページだ…)
…まず最初の一歩として表紙を開いたのは、よく頑張ったんだね。
今回は、その『星の王子さま』について、少しでも読みやすくなるようにポイントを絞って紹介しますね。
※たくさんの訳が出ていますが、今回使っているのは池澤夏樹さん訳(2005年 集英社)です。
「目には見えない大切なもの」
物語中、もっとも大切といっていい「目には見えない大切なもの」。
それは、「心のありようで、世界は変わって見える」ということ。
主人公のパイロットは、王子さまからそのことを教わります。
「夜の空を見て、あの星の1つにぼくが住んでいて、そこでぼくが笑っている、と君は考えるだろう。だからぜんぶの星が笑っているように思える。きみにとって星は笑うものだ!」
『星の王子さま』アントワーヌ・ド・サンテグジュペリ/著 池澤夏樹/訳 集英社(2005年)
特別な人ができれば、その人はすべての物事の中に存在します。
何をしても、何を見ても、その人を感じることができるのです。
特別な人になるためには、時間をかけて愛を育む必要があります。
王子さまは、キツネからそれを伝えられました。
キツネは時間をかけて愛を育むことを、「飼いならす」と言います。
出会ったばかりのころ、キツネにとって王子さまは「10万人のよく似た少年たちのうちの一人」でしかありません。
でも飼いならした後は、「きみの足音はきっと音楽みたいにおれを穴から誘い出す」し、小麦の金色を見るたびに王子さまの髪の色を思い出すようになります。
王子さまに飼いならされたキツネは、「小麦畑を渡る風を聞くのが好きに」なるのです。
誰かのことを好きだと、一緒にいないときでも「あの人とここにいたら楽しいだろうなぁ」と笑顔になるよね。
…ほん太くんのこと、飼いならしたいなぁ。
!!?
もちろん、『星の王子さま』的な「飼いならしたい」だよね?
作品を知らない人相手には、くれぐれも口にしないようにね。
ただ、全員が誰かを「飼いならして」いるわけではありませんよね…
キレイな星空を見ても、笑顔になれない人だっています。
『星の王子さま』には、そんな残念な大人たちが何人か登場します。
物語中の残念な大人その1 王様
王子さまはバラと関係をこじらせて、自分の星を離れます。
自分の星を出て最初に訪れたのが、王様が一人住んでいる小さな星でした。
王様にとって世界は単純です。
つまり、人はすべて臣下。
命令したり禁止したりする対象でしかありません。
空に浮かぶたくさんの星は、王様にとっては「統治」している(と自分で勝手に思っている)ものでしかないのです。
星は「統治」されてるなんて思っていないだろうね…王様かわいそう…
星を統治しても、良いことないよね。
やっぱり他人を統治しないとね。
うさ井さん、王様側の立場なんだ…
でもこの王様、実はいい人。
臣下ができないことは、決して命令しません。
「できないことを命令する自分が悪い」と考えています。
そう考えると、この次に紹介する人たちよりは、残念ではないのかも。
物語中の残念な大人その2 ビジネスマン
王子さまが4つ目に訪れた星に、ビジネスマンがいます。
ビジネスマンは、ひたすら星の数を数えています。
そしてその星たちを、「所有」していると言い張ります。
星って所有できるの?
ビジネスマンによると、「星は誰のものでもない。最初に所有することを考えた自分のものだ」ということらしいです。
なんだか、独りよがりですよね。
数えると、所有したことになるの?
1。
いま、ぼくのこと数えたよね。
できれば他人を所有物として見るのではなくて、対等な関係をつくろうね。
でもビジネスマンは、まだ自分の意思で行動しています(ズレてるけど)。
自分の意思すら怪しいのが、次に紹介するこの人。
物語中の残念な大人その3 酒飲み
王子さまが3番目に訪れた星に、酒飲みがいました。
王子さまは、「なぜ飲むの?」と聞きます。
酒飲みは、「忘れるため」と答えます。
さらに王子さまは「何を忘れるため?」と続けます。
酒飲みは「恥ずかしいのを忘れるんだ」と答えます。
最後に王子さまは「何が恥ずかしいの?」と聞くと、酒飲みは
「酒を飲むことが!」と言い、黙り込んでしまいます。
酒飲みは、星を見ることすらしません…。
なんて気の毒な酒飲みなんだろう。このシーンだけで断酒できそう…
お酒は自信満々で飲むべきだよね。
…健康とお金と人間関係を大切にしてね。
そのほか、「うぬぼれ男」や「点灯夫」、「地理学者」などが登場します。
みんな、なかなかの残念っぷり。
でも、どこか他人事でないような…ぶるぶる。日頃の自分の態度を考えてしまいます。
まとめ
今回は『星の王子さま』を紹介しました。
ポイントをまとめます。
- 「目には見えない大切なこと」とは、「心のありようで世界は変わって見える」ということ。
- 時間をかけて愛を育む(「飼いならす」)ことで、大切なことを感じることができる。
- 星を見ても笑顔になれず、「統治」や「所有」の対象でしか見れない大人がいる。
星を見るなら、笑顔になりたいですね。
最後まで読んでくださってありがとうございました!
またお会いできるのを楽しみにしています!
うさ井さん、『星の王子さま』は読み進められそう?
うん。少し内容がわかると、読める気がしてきたよ。
でもなんかいろいろ…忙しいから、来週から読むことにするよ。
(一人じゃ読まないパターンだ!)
…今から一緒に読もうね。