神様、ごみをポイ捨てする奴らの体が爆発しますように。
うさ井さん、こんにちは。
体が爆発すると、ポイ捨てされるより後片付けが大変だよ。
いったいどうしたの?
あぁ、ほん太くんか。こんにちは。
近所に大好きな公園があるんだけれど、最近ごみのポイ捨てが目に付くんだよね。
とても不愉快なんだ。爆発物を作る本を紹介してよ。
…爆発させなくても、「ゴミ箱の上にバスケットゴールを付ける」という仕掛けで、ポイ捨てが減ったそうだよ。
そういう“仕掛け”について書かれた『実践仕掛学 問題解決につながるアイデアのつくり方』(松村真宏/著 東洋経済新報社 2023年)を紹介するね。
『実践仕掛学 問題解決につながるアイデアのつくり方』一行紹介:
仕掛けた人も仕掛けられた人も、どちらも幸せになる“そそる仕掛け”についての解説と事例紹介。
本の表紙に、「ゴミ箱の上にバスケットゴール」のイラストが描いてあります。
そんなゴミ箱なら、成功するまで何度でも捨てたくなりますよね。
実際、この仕掛けでポイ捨てが減り、ごみ箱の利用が1.6倍になったそうです。
この“仕掛学”を知れば、仕事や育児など、暮らしのいろいろな場面で役立てることができます。
いろいろな仕掛けを作って、暮らしを楽しくしていきましょう。
仕掛けってどんなもの? 3つの要件
この本でいう“仕掛け”とは、次の3つの要件を満たしているものです。
- 公平性(Fairness):誰も損しない
- 誘引性(Attractiveness):つい、したくなっちゃう
- 目的の二重性(Duality of purpose):仕掛け人と仕掛けられる人で、目的が異なる
たとえば、マジックハンドでティッシュ配りをしている人がいるとします(実際にいたそうです)。
これは、3つの要件を満たしています。
誰も損しない。
ついティッシュを受け取りたくなっちゃう。
配る人は「ティッシュを渡したい」し、受け取る側は「何でマジックハンドを使っているか聞きたい(からティッシュを受け取りたい)」。
この3要素は、それぞれの単語のアルファベットを取ってFAD要件と呼ばれます。
ゴミ箱のバスケットゴールも、この要件を満たしているね。
誰も損しないし、ついしたくなっちゃうし…
“目的の二重性”は、「シュートをうまく決めたい」と「うさ井の不愉快をなくしたい」だね。納得だよ。
…僕の意見としては、後半は違うかな。
シンプルに「ポイ捨てを減らしたい」とかだと思うよ。
そそる仕掛けの条件とは? 「期待」と「3秒ルール」
仕掛けが魅力的でなければ(そそらなければ)、せっかく準備しても無意味になってしまいます。
そそる仕掛けの条件は、「何か楽しいことが起こりそうだ」と期待させること。
たとえば「前にやって楽しかった」思い出につなげる。
バスケは体育で経験した人が多いし、「シュートを決めたら楽しい」ことを知っている人も多いです。
だから、ごみ箱の上にバスケゴールがあると、ついやってみたくなります。
もう一つの条件は、「3秒ルール」です。
3秒見て期待が起こらなければ、スルーされてしまいます。
見た瞬間に興味を引かなくてはなりません。
ごみ箱の上にバスケゴールがあれば、興味を引くしゴミを投げたくなりますよね。
「ポイ捨てすると爆発する」というのは、そそられないね。
やめることにするよ。
うん。そそられないからやめるというのは違和感があるけれど、
やめてくれるなら大歓迎だよ。
仕掛けとよく似た違うものとして、行動経済学の“ナッジ”があります。
ナッジは、人間の意思決定のクセ(認知バイアス)を利用して行動させるものです。
例えば、ドナーカード。
提供する意思のある人がチェックを入れる形式と、意思がない人がチェックを入れる形式があります。
多くの人はわざわざチェックを入れないため、後者の方が臓器提供者が多くなるそうです。
“遊び心”を利用する仕掛けとは違いますね。
仕掛けのコツ 3選
では、仕掛けを作るときのコツを3つ紹介します。前述の「3つの要件」にプラスして考えてみてください。
①「見たことがないもの」と「よく知っているもの」の要素を入れる
バスケのゴールもゴミ箱も、「よく知っているもの」ですよね。
でも、その2つが合体すると「見たことがないもの」になります。
本の中では、「見たことがないもの」=“新規性”、「よく知っているもの」=“親近性”という言葉で説明されています。
②0→1で作らない
ゼロから創造するのは大変ですが、すでに存在するものを寄せ集めて組み立て直すのは簡単です。
バスケットゴールとゴミ箱、ティッシュ配りとマジックハンド、というふうに。
「寄せ集めて組み立て直す」ことを、“ブリコラージュ”というそうです。
③報酬として、お金をあげない
報酬は、好奇心や達成感、名誉や社会的承認といったお金じゃないものがいいそうです。
ごみを投げてシュートが決まる達成感、ポイ捨てしないちゃんとした人という社会的承認。
報酬をお金にすると、金額が足りない場合にかえってやる気をなくします。
「お金をあげない」のがコツというのがいいね。
とても気に入ったよ。
うん。仕掛けを作るとき、気持ちのハードルがさがるからね。
え?気持ちのハードル?
…あぁ、そうそう。気持ちの問題。そう言おうと思ってた。
まとめ
今回は『実践仕掛学 問題解決につながるアイデアのつくり方』を紹介しました。
ポイントをまとめます。
- 仕掛けは、「誰も損しない」「つい、したくなっちゃう」「仕掛ける側と仕掛けられる側の目的が異なる」
- そそる仕掛けの条件は「期待させる」と「3秒以内に興味を持たせる」
- 仕掛けのコツは「新規性と親近性」「ブリコラージュ」「報酬はお金以外」
無理やり決まりを守ってもらうより、楽しんでもらってそのまま習慣化するのがいいですよね。
この本には45の仕掛け事例が載っているので、参考になるものが見つかると思います。
最後まで読んでくださってありがとうございました!
またお会いできるのを楽しみにしています!
うさ井さん、公園のごみ箱に仕掛けをしてもらえるよう、市役所に意見を伝えてこようよ。
そうだね。
ごみ箱に、捨てざるを得ないような、生命の危機を感じる仕掛けを…
ふふふ…考えるの楽しいね。ほん太くん。
…そこを楽しむのではなくて、ごみ捨てが楽しくなる仕掛けを考えようね。