『忘れ形見の音色』
今年の父の日は、僕にとって少しばかり憂鬱な日になるはずだった。僕、高橋健太、高校三年生。父は二年前に他界した。病気だった。優しくて、いつも僕の味方でいてくれた父。特に、僕が小学生の時に始めたギターを、誰よりも応援してくれた。
父は、僕が初めて手にした安物のギターを見て、「健太、いつかお父さんに最高の曲を聴かせてくれよ」と言って、僕のために弦を張り替えてくれた。それからずっと、僕は父の前でギターを弾き続けた。父はいつも、僕の拙い演奏にも「最高だよ!」と拍手喝采を送ってくれた。父の笑顔が、僕の音楽の原動力だった。
父が亡くなってから、僕はほとんどギターを弾かなくなった。父に聴かせることのできない音楽に、意味を見出せなかったからだ。部屋の隅で埃をかぶるギターを見るたび、胸が締め付けられるようだった。
父の日が近づくにつれて、母が父の好きだった料理を作ったり、仏壇に花を飾ったりする姿を見て、僕はますます寂しくなった。この日を、どう過ごせばいいのだろう。
父の日、当日。 僕は自室に閉じこもっていた。窓の外は、晴れ渡る青空。本来なら、こんな日はギターを抱えて、近所の公園で練習でもしているはずなのに。
その時、コンコンとドアがノックされた。 「健太、少し話があるの」 母の声だ。僕は渋々ドアを開けた。
母は、僕が前に父にプレゼントした、使い込まれたマグカップを手にしていた。そこには、僕が下手なりに描いた父の似顔絵が残っている。 「これ、お父さんがね、亡くなる少し前に私に預けてくれたの」 母はそう言って、僕に小さな包みを差し出した。
中には、古びたUSBメモリが入っていた。 「お父さん、健太に何か伝えたいことがあるって言ってたの。でも、体調が悪いからって、私に預けて…」 母はそれ以上何も言わず、僕の部屋を出て行った。
僕は、USBメモリを握りしめたまま、ベッドに座り込んだ。父が僕に…? 最後に何かを伝えようとしてくれた?
震える手で、僕はUSBメモリをパソコンに差し込んだ。中には、たった一つのファイルが入っていた。ファイル名は「健太へ」。
恐る恐るダブルクリックすると、画面には父の姿が映し出された。父は、病床に伏せっているにもかかわらず、いつもの優しい笑顔で僕を見つめていた。
「健太、これを見ているということは、お父さんはもういないんだろうな」 父の声が、僕の部屋に響き渡る。その声は、少し掠れていたけれど、間違いなく父の声だった。
「健太、お父さんが言いたかったのは、君の音楽のことだ。君が初めてギターを弾いた日、お父さんは本当に嬉しかった。君の音楽は、お父さんにとって何よりの宝物だった。だから…だから、健太、ギターを辞めないでくれ。君の音楽は、健太だけのものじゃない。君が音楽を続けてくれることが、お父さんの願いだ」
父は、咳き込みながらも、言葉を続けた。 「それに、健太。もし、この動画を見ている君が、まだギターを弾いていなくて、寂しい思いをしているのなら…これを」
父は、そう言って、カメラに向かって、一本のギターを掲げた。それは、僕が欲しがっていた、あのヴィンテージギターだった。父は、僕の誕生日に買ってあげると約束していたけれど、病気が悪化して叶わなかった、あのギターだ。
「このギターは、健太が生まれて初めてギターを弾いた時に、お父さんが密かに買っておいたものだ。いつか、健太が本当に大切な曲を弾く時に、使ってほしくてね。このギターを弾けば、きっとお父さんが近くにいるように感じるだろう。だから、健太、顔を上げて、また音楽を始めてくれ」
父の言葉に、僕は声を上げて泣いた。父は、僕がギターを辞めてしまうことまで、見通していたのだろうか。そして、僕のために、こんなにも素晴らしい贈り物を残してくれていたなんて。
僕は、すぐに部屋の隅に置かれた、埃をかぶったギターケースに手を伸ばした。そして、その中から、真新しいヴィンテージギターを取り出した。艶やかなボディ、美しい木目。それは、間違いなく父が僕のために残してくれた、奇跡のギターだった。
僕は、父の動画を再生したまま、そのギターを抱えた。そして、震える指で弦を弾いた。響き渡る、深く、そして温かい音色。それは、まるで父の温かい手が、僕の背中を押してくれているようだった。
父が最後に僕に伝えたかったこと。それは、僕が音楽を続けることだった。僕は、そのギターを抱きしめ、心の中で父に誓った。
「お父さん、ありがとう。僕、また音楽を始めるよ。そして、いつかお父さんに聴かせたかった、最高の曲を、このギターで奏でるから」
父の日。それは、僕がギターを再び手にした日。そして、父の愛が、時を超えて僕の元に届いた、奇跡の日となった。僕はもう、一人じゃない。父の温かい音色が、いつも僕のそばにあるのだから。
終わり
今日は父の日。

父の日だね。
おとといAIのGeminiに、ちょっと先取りして「6月15日にピッタリの物語を書いてください」って頼んだら、書いてもらえなかったんだよね。

AIに頼みすぎじゃない?
過労だよ。過労。

頼みすぎだという心当たりはある。
でも、過労ではないみたい。
「それは書けないけど、その日は父の日だから、「父の日」テーマでなら書けるよ」みたいな言葉が返ってきたんだよ。

おう、言ってくれるなぁ。
で、父の日テーマだとどんな物語ができたの?

ん~、なんだか、盛り上がりに欠ける話だった。だから、プロンプトで盛り上がりを作ろうと思ったんだよ。
それでできたのが、冒頭のおはなし。
プロンプト(命令文)はこんな感じにしたよ。
【プロンプト】
父の日に起きた奇跡の物語を1000文字程度で書いてください。
弱めの奇跡。

いい話だけど……
奇跡というには、ちょっと弱いかな。

お父さんが生前に準備していたことだからね。
誰の意図も関わらないような、圧倒的な奇跡を期待したんだけどね。

あと、1000字縛りがあるから仕方ないのかもしれないけど、細部があっさりしているのは残念。

そうだね。
ヴィンテージギターがどんなものなのかとか、お母さんが持っているマグカップについても、もう少し文章が欲しいね。

ほん太くん、いつもは多少なりとも褒めるのに。
今日は全く褒めないね。

……ほんとだ。
ん~、シンプルに、ストーリーが好みじゃないだけかもw
今までは多少なりとも興味が持てたのだけど……。
自分でもよくわからないやw
以下、広告です。
「今からだったら多分間に合わない。父の日プレゼント」