
特定の作家の作風を真似してもらうよう頼んだら、どうなるのか試しました。
そうしたら、ある作品をパクっ……いや大胆に参考にした『髪』ができあがりました。
ストーリーをなぞっているけど、文体はちょっぴり古風という程度。
文豪への道は遠そうです。
『髪』
彼は、松本(まつもと)と申した。歳の頃は十七、都会の片隅にある、ありふれた高校に通う生徒であった。彼の苦悩は、学業でもなければ、友人のことでも、恋人のことでもなかった。彼の苦悩は、彼の髪にあった。
彼の髪は、生まれつき異常なまでに直毛で、そして硬かった。まるで針金のように一本一本が強く、どんなに整えても、決して彼の思い通りにはならなかった。朝、丹念に櫛で梳かしても、数分後には元の位置に戻り、まるで逆立ったように跳ね上がるのであった。
彼の髪は、幼少の頃から彼を苦しめ続けた。小学生の頃には、クラスメイトから「鳥の巣頭」とからかわれ、以来、彼は自身の髪に深い劣等感を抱くようになった。中学校に上がると、周囲の生徒は皆、思い思いの髪型を楽しんでいたが、松本だけは、その硬質な髪ゆえに、いつも同じ、どこか滑稽な髪型で過ごすしかなかった。
彼は、この髪をどうにかして柔らかくしようと、あらゆる手を尽くした。まず、高価なシャンプーやリンスを試した。髪に良いと聞けば、どんな商品でも惜しみなく買い求めた。だが、いくら高価な品を使っても、髪の質は変わらない。次に、毎晩、ドライヤーで念入りにブローした。熱風で髪を伸ばそうと試みたが、すぐに元の頑固な状態に戻ってしまう。ついには、友人の勧めでパーマをかけたこともある。しかし、彼の髪はパーマ液をまったく受け付けず、逆にチリチリに縮れてしまい、まるで火傷でもしたかのような惨状を呈したのであった。
松本が最も心を痛めたのは、彼の周囲の視線であった。人々は彼の前では露骨に笑うことはなかったが、その視線は常に彼の髪に向けられているように思われた。特に、女子生徒たちの視線は、彼にとって耐え難いものであった。廊下ですれ違うたびに、彼女たちが彼の髪を見て、ひそひそと何かを囁き合っているように感じるのであった。
彼の唯一の望みは、この煩わしい髪が柔らかくなることであった。彼は夢の中でさえ、サラサラと風になびく髪を持つ自分を想像した。その夢の中の彼は、自信に満ち、人々の尊敬を集め、そして何よりも、女子生徒たちから好奇の目を向けられることなく、堂々と振る舞うのであった。
ある日、松本はインターネットで、髪質改善に効果があるという、とある民間療法を見つけた。それは、ある種の秘薬を練り込んだ泥を髪に塗布し、一定時間置くというものであった。松本は半信半疑であったが、藁にもすがる思いでその秘薬を注文し、休日の夜、自室でその処置を試みた。泥は異様な匂いを放ち、頭皮にピリピリとした刺激を与えたが、松本は痛みをこらえ、処置を続けた。
数時間が過ぎ、泥を洗い流した松本は、自身の髪に異変を感じた。それは、これまで感じたことのない、わずかながらも確かな柔軟性であった。そして、数日が経つと、松本の髪は驚くほどに柔らかくなっていた。かつて針金のように硬かった髪は、今では指通りも滑らかで、櫛で梳かせば、自然な流れを持つようになった。
松本は歓喜した。彼は早速、思い思いの髪型を試みた。前髪を流し、襟足を整える。まるで別人のように、彼の顔つきまでが生き生きとして見えた。彼はもう、彼の髪のことで悩む必要はない。彼は心ゆくまで、学業に、友との交流に、そして新しい自分自身に専念できる。
しかし、彼のこの喜びは長くは続かなかった。ある日、彼はいつものように学校で過ごしていた。周囲の生徒たちは、以前と変わらず彼と接している。だが、松本は、彼らの視線の中に、どこか以前とは異なる種類の奇異さを感じ取った。それは、以前の嘲笑でもなければ、驚きでもない。まるで、彼の髪が柔らかくなったこと自体を、珍しいものとして眺めているような、そんな奇妙な視線であった。
松本は、放課後、自室に戻ると、鏡の前に立った。そこに映っていたのは、確かに柔らかくなった髪であった。しかし、彼は気づいた。以前の彼の髪は、異常なまでに硬かったがゆえに、ある種の個性を帯びていた。それは彼自身の存在を、良くも悪くも、はっきりと際立たせていた。だが、柔らかくなった彼の髪は、ごく普通のものであり、彼の個性を示すものは何一つとしてなかった。
松本は、今まで彼を苦しめていた髪の呪縛から解放されたにもかかわらず、どこか満たされないものを感じていた。人々はもう彼の髪を笑わない。しかし、彼らが彼の髪を「普通」として見ている限り、それは彼の存在を、凡庸なものとして扱うことと変わらないのではないか。彼は、自分自身の存在が、以前よりも希薄になったような気がした。
松本は、再び彼の髪を見つめた。それは、確かに普通の髪であった。だが、その普通さが、彼には、何よりも深い苦痛をもたらすのであった。彼は、再び、あの異様なまでに硬い髪を持つ自分を、むしろ懐かしくさえ感じ始めていた。彼の心は、かつて彼の髪が頑固であった時とは、また異なる種類の、言いようのない空虚さに満たされていた。
終わり
文豪が文豪と言われるゆえんを探りたいのです。

文豪のような文章にあこがれるよね。
でも、どんな要素があれば文豪なんだろう?
AIのGeminiに聞いて……も分からないと思うけど、例を示してもらって意見を聞いてみよう。

それをAIに聞いちゃう時点で、ほん太くんのレベルが知れますな。

参考までに!だよ!
試すぐらいいいでしょ。
【プロンプト(命令文)】
現代の高校生が苦悩する小説を、芥川龍之介風に1000文字程度で書いてください。

なんで高校生?

なんか、苦悩してそうだから。
芥川作品って、とりあえず苦悩するでしょ?

きみは文豪をなめているな。
設定丸パクリでした。

これでできたのが冒頭の作品だけど……
これって、『鼻』だよね。

うん。
『鼻』だね。

「鼻が大きくて悩んでいる住職が、荒療治で鼻を小さくしたけど、小さくなったらなったで悩む」というのが『鼻』だものね。

うん。
ちょっとAIに、どういうつもりか聞いてみてよ。

わかった。聞いてみるね。
【プロンプト】
どんなところが芥川龍之介っぽいところですか?
AI、確信犯でした。

異常な身体的特徴への執着と苦悩: 芥川の「鼻」が禅智内供の異常に長い鼻を扱っているように、「髪」では高校生・松本の異常なまでに硬い髪がその苦悩の源となっています。
主人公が自身の身体的特徴に深く心を悩ませ、それが彼の存在そのものを規定している点が共通しています。

あ、『鼻』をご存じの上で、この作品なんだね。

「共通しています」って、文学作品で共通したらダメじゃん。
オリジナリティーどこよ。

確信してパクるとはw
AIはインターネット上のいろいろな情報を集めて、出所がわからないくらい薄めてくれるものだと思っていたけど……。

もういっそ、『鼻』を書きかえて『尻』を作ってもらってよ。
髪より面白そうだし。

尻を熱湯で茹でたり足で踏んだりするの?
変態っぽいからやめておくよ。
恒例のイラストです。

では、いつものやつを。
【プロンプト】
この物語のイメージイラストを描いてください。

はい、物語のイメージイラストを生成しました。


手首のヘアゴムに哀愁を感じるねw
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